飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント part4-2

2019年8月31日

飲食店を失敗しない、5つのチェックポイントを確認

前回Part4-1の冒頭で説明しましたとおり、以下が飲食店を失敗なく経営するための、5つの項目です。

1、より多くの人が食べたいと思う料理を提供できること
2、それが美味しい料理であること
3、お店全体でここちよいサービスが提供できること 
4、手ごろな料金であること
5、おおぜいのお客様がお見えになりやすい場所で営業すること

前回にひき続き今回は

4、「手ごろな料金であること」②について

前回「手ごろな料金」で、①のつづきになります。

ラーメン専門店の話 

ラーメン専門店を例にあげます。現在はラーメン専門店が、こった味付けや、バラエティー豊富なトッピングに、サイドメニューといろいろ工夫をこらしてくれてます。

楽しくて、美味しいのはいいんですが、具のたくさん乗っているものを選ぶとあっという間に、1000円をこえてしまう。具材がたくさんのっていると言っても、ラーメンには変わりありません。

これは、私の感覚では、お手ごろ価格とはいえません。また、味も自然な出汁以外の、化学調味料系の味に頼っている店が、かなり多い気がします。

中華料理では、化学調味料などのうま味のもとを少量使うところが多いです。

家系ラーメンの店を経営していた社長の話を聞いても、確かに安易に化学調味料に頼りすぎている店もかなりあるとのことです。

手軽にそれっぽい味がだせるのは楽でいいでしょうけれど、そういうものに頼るのはどうなんでしょうか。リーズナブル以前の問題です。疑問に思います。

とにかく、ラーメンの世界にそういう専門性の高い、「こだわりラーメン」が加わってきたと考えたらいいのでしょう。であるとするならば、堂々と本物志向で、頑張っていただきたいものです。

まじめに出汁をとって、自店の味を追求しておられる方々に対しても、迷惑です。また高いお金を支払って、化学調味料たっぷりの食事は困りものです。

町の「ラーメン屋さん」

過去を懐かしむわけでは、ありませんが、定食でもなんでもやっている店。どこにでもある下町の「中華屋さん」あるいは「ラーメン屋さん」全盛のころの話です。

今で言えば、ワンコインで食べられるものも、たくさん選べました。ですから、週に何回でも行くことができました。通いすぎると、カロリーが高めになり、ちょっと太りますが。

調理担当者、昔風で言えば「ラーメン屋のおやじさん」が料理の実力もあり、幅広いメニューをこなしていた店が多かったですね。大衆料金でも一流の中華飯店さながらの「ラーメン屋さん」もありました。かなりしっかりと修行されたんでしょう。

安くて、美味しくて、ボリュームがあってと。リーズナブルなメニューが多かったです。まさに、「お手ごろ価格」盛りだくさんです。

だから、ローカルな場所でも、繁盛こそすれ、なかなかつぶれない。私の知りあいの、中華の料理人のなかでも、廃業した理由が、後継ぎがいないというのが、いちばん多かったです。それは、大変な仕事で苦労が多いから、子供に継がせたくないからでしょう。

メニューも多ければ、仕入れも、仕込みも多い。労働時間が長い上に、まとまった休みもなかなかとれない。修行期間も長いし。老後も年金だけでは、暮らせない。個人店の後継者不足の最大の理由はこのあたりにあります。

「お手ごろ価格」で商売をするのは、集客にとって、なくてはならない条件ですが、このように経験と知恵と多大な労力が必要です。大変ですが、いろいろと、工夫してみてください。

まずは、料理人なら何をおいても、料理の実力をみがくことです。当然、多少の時間もかかります。経験も必要です。小手先のテクニックはその後からで、充分です。

ある老舗の洋食屋さんの話

こんなケースもあります。ある老舗の洋食屋さんの話です。私の店の近所にありました。私の友人もその店に勤めていましたので、良く内情がわかります。

お父さんがコックをして現場で腕をふるっていた時代は、何を食べても「安くて、美味しくて」まさに「お手ごろ価格」の店でした。もちろん、スープも、デミグラスも、ホワイトソースも、トマトソースも全てが手作りです。

カウンター越しに話すと、いろいろ説明してくれました。また、厨房の奥の方に、いつも大きな寸胴の鍋が、いくつも並んでいました。そこから、なんとも言えない洋食屋さん独特の、ソースや、スープの甘い香りが、ただよってきます。

忙しい時間を終え、一息つくと、すぐに野菜をいためてソースに加えたり、また別の鍋のソースをこしたり、一日中ひっきりなしに調理場におられました。

しかし、月日が過ぎ、お父さんが引退されて、息子さんが調理場を仕切るようになって、しばらくすると、全く味が変わってきました。

どれだけ使っていたのかわかりませんが、インスタントの風味や、缶詰の味がしだしました。調理場からの、いい香りはもうありません。

勤めていた友人に聞くと、仕込みが大変なのでソースやスープは全て業務用の缶詰類をメインに使う方針に変えたそうです。次第に、お父さんのころからの常連さんは、知る限りでは誰も行かなくなりました。当然閑古鳥が鳴きだしました。

そこで、息子さんは、対策を考えました。テレビにでてみたり、イベントに参加してみたり、精一杯の宣伝活動に励んだそうです。

また、インスタントの味はそのままで、いろいろ変わったメニューを考え出したりと、なかなかのやり手です。そのおかげで、また息を吹き返したように見えました。

でも、マスコミに出た直後はいいんですが、しばらくするとまたお店はがらんとしてしまいます。そこでまた、宣伝をうつ。その繰り返しで、頑張っておられます。

ソースやスープをいちから手作りするのは、大変な重労働です。もしかすると、息子さんは身体でも弱いのか、体力がないのかもしれません。

でもまあ、お店もやりようなんですね。私の知ってる限りでは、その洋食屋さんだけでなく、近所のラーメン専門店でも居酒屋さんでも、同様のケースを多くみうけます。

手作りや、本物の味は二の次、その代わりに宣伝でつなぐ。けれど、どうでしょう。なにかピントがずれているような気がします。

せっかく洋食、ラーメン、寿司、居酒屋、やきとり等、個人店で料理人の手作りの料理、その店の味が食べたくて、おみえになるお客様が可愛そうですね。

いくら表面上、リーズナブルなお店でもこれは、料理屋としては本当の意味の「お手ごろ価格」とはいえないような気がします。中身がともなっていないのは、どうかと思います。

インスタント食品ならスーパーにもコンビニにもあります。「安い、不味い」を通り越して「安い、ひどい」では、論外です。

まともな料理や、心のこもったサービスを心がけましょう。インスタントや化学調味料だらけの料理では、お客様がかわいそうです。詐欺のような気もします。

どうしても料理に手をかけることが嫌なら、いっそのこと、こんなアイデアもあります。お店の近所にもありましたが、

・「インスタントラーメン専門店」
 全国のご当地インスタントラーメンを集めました。

・「缶詰のつまみだけの居酒屋」
 世界の珍味の缶詰をつまみに飲める店

このように初めからことわって、営業すれば、こちらもそのつもりで、行くことができますので、問題ないでしょう。

今回は、以上になります。次回は、飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント part5「おおぜいのお客様がお見えになりやすい場所で営業すること」を説明します。