飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント!!  Part1

2019年8月16日

飲食店を失敗しない、5つのチェックポイントを確認

以下が飲食店を失敗なく経営するための、重要な5つの項目です。これから開業をされるお店の内容が、これらにあてはまるかをチェックしてください。

1、より多くの人が食べたいと思う料理を提供できること
2、それが美味しい料理であること
3、お店全体でここちよいサービスが提供できること 
4、手ごろな料金であること
5、おおぜいのお客様がお見えになりやすい場所で営業すること

いかがですか。「なんだ、あたりまえのことばかりじゃない。」と思われますね。そのとおり、飲食店経営では、言い尽くされている繁盛のための「基本のアイテム」です。でもこの簡単そうに見える、あたりまえな基本がかなりできてないんです。

失敗から学ぶこと

飲食店を開業するからには、必ず繁盛させたい。最低でも閉店廃業はまぬがれたい。「行列のできる店」「予約のとれない店」と理想は高くていいのですが、まずは確実に食べていける店を作るのが先決です。

そうするための、確実な方法のひとつは、過去の失敗例から学ぶこと、これが一番わかりやすいです。

私は長年飲食店を経営してきました。私自身、過去に一度、大きな失敗をして飲食店を廃業した経験があります。3,000万円近くの借金を背負って、大変な思いをしました。

私の知り合い、友人、後輩のなかでも多くの方たちが、失敗し早期に業界を去って行かれました。早い人で1年以内、長くてもだいたい3年以内に、終わられたかたがほとんどです。再度チャレンジできるのは、ひとにぎりの恵まれた人のみです。

みなさん後から気づくんですが、失敗したことは、具体的に口にだして言えるような、わかりきったことばかりだったんです。それがきちんとできてなかった。

冒頭に記載した重要5項目の、いわゆる「基本的なこと」のどこかが、欠けていたんです。では、なぜそれを欠いてしまったのか。それは「慢心」「油断」「勘違い」「力不足」「準備不足」いろいろ原因は考えられますが、いずれにせよどこかで『判断ミス』をおかしてるからです。

では、どうして判断ミスをしてしまったか、それは基本とそれを使いこなす練習(応用)つまりは、実戦経験が足りないのが最大の原因です。下積みの修行の時期に、これらのことをしっかり身につけていれば、失敗する確率も最小に減らすことができます。

まずは、これらの基本をしっかりとかためて、多くの経験をして、限りなく成功に近づく力を身につけてください。独立をあせると、決していいことはありません。

飲食店のきびしい現実

出典 : ㈱帝国データバンク

個人で、借金をかかえたりして開業するのは大変なことです。絶対に失敗したくはありません。しかし、現実は上のグラフのように、昨年だけでも飲食店の倒産、休廃業、解散が合わせて1180件です。このグラフにのらない小規模なものなどもいれると、実際はもっと多い件数になります。

倒産の主因が8割が販売不足

㈱帝国データバンク

要するに、思ったほど売上げが上げられず、赤字になり経営難から倒産となります。その他は高齢で後継者がいないとか、人手不足などさまざまな原因があげられます。

この売上不足の経営難による閉店のケースが一番多いのですが、個人規模だと、やり方しだいでなんとかなることも多々あります。重要なことなので、また別のテーマにして後述します。

あふれかえる情報、トレンドと基本

どうしたら繁盛への道を進めるのか、みなさんネットなどあふれかえる情報におぼれてしまって、どれが真実に近いのか迷いますね。そういう時は、難しく考えないで、まず基本にもどってください。

多くの失敗例はこの基本ができてないことが最大の原因です。逆にこの基本がしっかりしていれば、年中、トレンドなどの情報に振りまわされて右往左往することもありません。

トレンドも大切なものですが、①今後の産業をリードしていくような、重要なものと、②マスコミ周辺の定番のお祭りと考えられる程度のものもあります。

前者①については、充分吟味していくべきですが、後者②のようなものには、参加すればにぎわうでしょうけれど、いずれ時期がくれば、過ぎ去りまた、新たな何かが流行します。

そういうタイプのトレンドをいちいち追っかけてばかりでは、お金も労力も必要になりますから、個人ではかなり消耗しますので、考えものです。

まずは飲食店の基本である、その本質を理解し押さえていくことです。
「飲食店とは、何をするところなのか?」を自分の頭で考えてみてください。

「飲食店とは、お客さまに飲食を提供して、お金をいただくところ。」そのとおりですね。そこからすべてスタートします。前置きが長くなりました。さっそくテーマである5つのチェックポイントをひとつずつ解説します。

1、「より多くの人が食べたいと思う料理を提供できること

ポピュラーな料理と季節感

多くの人が食べたくない料理をつくれば、誰も食べませんでしょうから、お店はなりたちません。でもそれに近いことをする店主がいます。

それは、自分が作りたい物を作る。ただその料理にほれ込んで、得意になって作る。例えば、エスニックでも流行りのタイ料理ならなんとなく「カオマンガイ」「ガパオ」「トムヤンクン」と想像がつきますし、ポピュラー化してるので、わかりやすいですね。

ですが、アフリカのトカゲや虫の料理とか、中近東の羊の脳みそ料理とかは、いくら美味しくても、たくさんのファンを獲得するのは困難です。

また、好きがこうじて、真夏でも本日のおすすめは、「こってりと長時間煮込んだ、ほろほろのビーフシチュー!」外は30℃以上。極端な例なんですが、本当にあった事例です。

これらに近いことがかなり見うけられます。間違いとまでは言いません。店主のこだわりなんだから、さぞかし、丹精こめて、工夫をこらし、おいしんでしょう。でも、真夏に、多くのお客様が食べたくなるものって少し違いますよね。

マニアックな料理とトレンド

あと、先程も少し触れましたが、少数派の料理も熱烈なファンの支持やブームに乗って、季節に関係なく一時的に流行ったり、有名になると日本中からファンを獲得して、大繁盛することもあるでしょう。

マニアックな激辛料理や流行に大きく左右されるスイーツなどに多く見られます。それだけに頼って残っていくのは、大変です。

どうしても激辛料理やパンケーキとかタピオカとか、こだわりのスイーツに人生をささげてもいいんだ。とお考えなら話は別ですし、情熱さえ切れなければ、やりかたはあると思いますから。

一般には、もっとポピュラーな料理の方がより多くの方に食べていただけますし、わかりやすいのでチャンスにも恵まれます。

たとえば、和定食、洋定食、カフェメニュー、ラーメン類、カレー、ピザ、パスタ、パン類、焼鳥などは親しみやすく、わかりやすいし、季節もあまり関係なく、一年中いつも日本人なら口にするものです。ただし競争はやはり熾烈です。しかし、後に述べますがやり方しだいです。

単一アイテムで勝負することについて

○○ラーメン専門とか、○○スイーツ専門とか単一アイテムをねらってそれにこだわって、開店するのは、いちがいに間違いとは思いません。

修行期間も比較的、短くてすみます。そのかわりに、流行にかなり左右されたりもします。もしもの時、次の手を考えるとすると、事前に少し幅広い技術を付けておくべきです。例をあげておきます。

・ラーメン専門店を開業予定なら同時に中華全般を勉強しておく。高級中華飯店ほど本格的でなくていいので、代表的な一品料理などが、ひととおり美味しくできる技術を身に付けておくと自信も実力もそなわります。デリバリーとか、ケータリングとかイベント参加とか、いざという時にさまざまな応用がきくので、助かります。

・スイーツ専門店も同じで、カフェメニュー全般、多彩なモーニング、 ランチ 、ディナー用のメニュー、バータイム用の軽いお酒のつまみ。基本的なカクテル、洋酒の知識と提供する技術。「アルコール類は嫌かも」とか思うかもしれないけれど、生きていくには、そう贅沢は言ってられません。いざと言う時のため、技術はつけておいたほうがいいです。

いざという時の手に職

ポヒュラーな料理だけにしぼって、やれば成功するかと言えば、競争が多いので、これも大変なことです。

基本的にとても馴染みやすい料理を提供していた知り合いが、何人かいました。しかしみなさん不景気で、お店が暇になってきてしまって、困り果てていました。

借金があるので、廃業するわけにもいかず。いろいろ考えた末に、アイデアと技術を駆使して成功しているケースがあります。ご紹介します。

・あまり場所のよくないところでカレー屋さんをやっていたケース
 解決策 ライトバンを改造し、メニューを工夫して、 各地の有名イベントなどに出店して売上回復

・バーをやっていたが、売上不振になったケース
 解決策 完全に店をたたんで、ケータリング専門にして好調に

・暇になってきた定食屋さん
 解決策  料理の撮影とか他の業種と連携して売上の不足分を補填

・お持ち帰り専用のお寿司屋さん
 解決策 お弁当とデリバリーの組み合わせで売上回復  

以上、いろいろ工夫しておられます。これもみな、料理にある程度の幅をもたせることのできる基本と、それを使いこなす実力があるから、はじめてできることです。

どんな天才でも、 しかるべき準備をして、お店を開いても100%食べていける保証はありません。

借金などを背負っている場合、もし売上が足りなくなったら、あきらめて、やめるのではなく、上記の例のような応用をきかせた次の対策を考えて、実行に移せるだけの準備をしておくのも、繁盛の秘訣です。

そのためには、しっかりと基本を身につけ、少しでも幅広い技術を修行で自分のものにしてください。それが、自分の財産になります。

一度身につけたら、一生なくならない財産です。利用の仕方しだいでは、多くの人を喜ばすことができ、豊かに暮らしていくこともできます。

何も技術が身についていないうちの修行は、雑用ばかりの下働きからはじまり、つらいものです。

しかし、一生からみれば、ほんのわずかの期間です。将来を夢みて頑張ってみてください。本日は、ここまでにしておきます。次回は チェックポイントの 2、それが美味しい料理であること を説明します。

松下幸之助 / 商売心得帖

最後に商売に関する本をご紹介します。この本は、もう古典に近いですね。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズなどの考え方も確かに参考にはなりますが、この本には、日本の商売の基本が書かれていて、とても身近に感じ、理解しやすいです。

日本の一時代を築き、経営の神様と呼ばれた松下幸之助が、たくさんのエピソードを添えて、とても簡単にわかりやすく商売のことを解説しています。

商売とはどんな姿勢で取り組むべきものなのかを、具体例を添えて、教えてもらえるりっぱな教科書ではあるんですが、かたくるしいものではなく、目の前で語りかけられているように、すーっと頭に入ります。

異業種ですが、飲食店で成功を収めた、私の先輩たちから受け継がれている本です。

今すぐ必要なところを優先して、調べるような気持ちで読んで、後は時間を少しでも作って読みすすめ、実践すると、自分の商売や人生が本当に変わっていくのがわかります。

商売の基本、精神は時代が変わっても、それほど移ろいゆくものではありません。まだまだ、現代でも通用する名著です。一生ものの、宝物の一つになることでしょう。