飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント part3

2019年8月19日

飲食店を失敗しない、6つのチェックポイント

飲食店を失敗しない、5つのチェックポイントを確認

前回Part2の冒頭で説明しましたとおり、以下が飲食店を失敗なく経営するための、5つの項目です。

1、より多くの人が食べたいと思う料理を提供できること
2、それが美味しい料理であること
3、お店全体でここちよいサービスが提供できること 
4、手ごろな料金であること
5、おおぜいのお客様がお見えになりやすい場所で営業すること

前回にひき続き今回は

3、「お店全体でここちよいサービスが提供できること」について

ここちよいサービスとはどんなサービスでしょうか。
お店の形態にも多少違いはありますが、字のとおりお客様がここちよく、利用できるようなサービスです。ハード、ソフトの両面から考える必要があります。範囲が広いですね。

店舗の内装など

まずは店舗の内装外装全てがお客様本位、お客様優先で、使いやすく設計施工してあることです。

ただお金さえかければ、いいと言うものでもありません。店舗専門の業者さんに依頼するのが一番です。

特に飲食店の設計施工の経験豊富な業者さんが理想です。代表的な項目を見ていきます。

入口(エントランス)  

お客様が、入りやすいのが一番です。中が全く見えない、「秘密クラブ」のようなのも、個性と言えばそうなんですけれど、少なくとも大衆店には不向きです。 

中が見えなくて不安です。

自動ドアもいいんですが、開いている時間が長かったりすると、入口近所の席のお客様が、不快な外気にさらされたり、外を歩く人の目が気になったりと、問題もあります。店の雰囲気や、規模にもよります。

テーブルや座席 

これらの配置も気をくばる必要があります。売上をあげたいがばかりに、きつきつにお客様を狭いところに詰め込みすぎるのは、考えものです。

かといって、余裕があり過ぎれば、お客様は広々とスペースを使えるので、ゆったりとして心地よいでしょうが、一定の人数が確保できなければ、売上が上がらず商売が成り立ちません。

厨房 

中小規模の店舗の場合、料理人がきびきびと動く様子を、客席から見ていただけるように、わざと厨房をオープンにしている店が多いです。

厨房から直接、カウンターのお客様にサービスできたりするので、かなり合理的なので、おすすめな内装です。

まったく厨房が見えないと飲食店としては、かなりさっぷうけいです。

トイレ 

意外に無視されるのが、トイレの設計です。多少規模が大きければ、男女を分けられます。理想ですね。

無理ならば、男性用の “小" の方専用のものと、女性用の洋便器をひとつずつ、一部屋に簡易的な仕切りを作って、設置する事も可能です。どうしてもスペースがなければ、洋便器ひとつがいいです。

空調設備 

問題点がいくつかあります。ただエアコンを設置すればいいというものではありません。かならず専門の設備業者を入れて、少し馬力に余裕のある機器を設置してください。

飲食店は火を使います。当然同時に換気をします。空調で適温に調節した店内の空気が調理中はいっせいに外に排出され、店内はあっという間に外気に近づきます。

どこから、どれだけ外気を取り入れるかは、大変重要な空調管理になります。一歩間違えると、お客様が汗だくだったり、寒くて震えて食事されたり、なんてことにもなりかねません。

外食でかなり嫌な経験を、されていませんか。

空調のひどい状態で、暑かったり、寒かったりと、不愉快な思いで食事をさせられたら、いくら美味しくても二度は行きたくなりませんでしょう。

現実にはたくさんの無責任な設計施工の店があります。後で直すのは、お金も工事期間もかかりますし、大変なことです。

私も、知り合たちも、この空調設備では、だいぶ苦労させられました。納得のいく店は少ないと感じます。

お金を払って嫌な思いをして食事させられるんですから、当然お客様も被害者ですが、われわれ飲食店側も、被害者としかいいようがありません。

昨今は、日本の夏は異常な暑さに、なってきていますので、この空調管理についてはきちんと計算できる、飲食店の工事例の豊富な専門家にお願いしてください。

実際に設計施工された、お店を何件か紹介していただいて、一度見学がてらその店に行って、一定の時間を過ごしてみると、その業者さんの仕事の良し悪しがわかると思います。ここも手を抜いてはいけません。

古い民家について

古い民家を改築するのが、少し前から流行りのようです。高級レストランなどでも、見られるようになりました。それなりの雰囲気があっていいですね。ただ、古いということは、木造などの場合、いろいろ問題があります。

・土台が腐り、ぼろぼろの状態で建物の強度が弱っている。

・水道管も古く、さびた水がでる。

・排水が長年の仕様で詰まりかけていて、水を大量にながすと、漏れて床にあふれてくる。

・長年使用しているので、木材が変形したりして、造作にくるいが生じて、すき間ができ空調の効率がわるい。その結果、夏暑く、冬寒い。食事するどころではなく、大変居心地の悪い店になる。

・すき間が多いと、害虫が侵入する可能性も高くなります。侵入されてからでは、駆除は費用もかかりますし大変無駄です。飲食店にとって、最悪な結果となります。

その他、物件の状態にもよりますが、古いということはいろいろなデメリットもありますので。 ご自分が納得いくまで 、大工さん、設計士さんとよく相談してみてください。

リフォームすることで、費用がかかりすぎて、普通の店舗を施工するよりも、かえって高くついてしまうこともあります。

「グリーストラップ」

排水に取り付ける装置です。
飲食店ならば、必ず設置される設備です。油や細かいゴミなどを下水に流さないようにするものです。

少しでも掃除に手をぬくと、ひどい悪臭を放ちます。日々の掃除もわすれてはいけませんが、いくら掃除をしても、ある程度の悪臭は残ります。

設置場所を客席から離れた位置にしないといけません。お客様が食事中にドブのような悪臭をかがされたら、たまりませんね。

ちなみに、清掃をする専門業者さんに依頼すると、お店側は楽できますが、費用がかかります。ピンからキリまで、いろいろありますが、慣れると簡単ですので、ご自分でおやりになったらいいかと思います。

衛生面 

お店の内外、客席、トイレなど、厨房も含めた全体について、衛生的にすることです。

飲食店のサービスのいっかんとして、衛生面が最重要項目のひとつとしてあげられます。

料理はもとより、スタッフ、店内外の全ての設備、入口、客席、ホール全体、厨房、トイレにいたるまで、お店全体が常にきれいで衛生的な状態でなければいけません。
飲食店で、 実際によくある、お客様からのクレームなんですが、

・料理に、異物混入(毛髪、紙くず、糸くず、金属たわしやスポンジ、ビニールの一部分、絆創膏、小虫など)。

・掃除がいきとどかず、席についたら、前のお客様がこぼされた料理が座席に残っていて、洋服にしみがついた。

・トイレがいつも汚い状態。

・スタッフのユニホームなど服装、髪型が汚い。だらしない。

まだまだきりがありません。日々、確実にきれいにしていきましょう。

それと定期的に、専門業者をいれて、店内の害虫消毒をしてください。今はいい薬剤が開発されていますので、きわめて高い効果が期待できます。

サービスとしてのお客様とのコミュニケーション

中小規模の飲食店であれば、お客様とのふれ合いも、なくてはならない重要項目です。

いくら料理が美味しくて、店内がきれいでも、スタッフがいつも、しかめっ面や、怖い顔してたら、美味しくいただけません。

でも、たまにありませんか。鉄仮面のような冷ややかな、無表情な顔で、「注文お決まりですか。」みたいな店員さん。なんか食欲失せます。

「いらっしゃいませ。」もだるそうに、しょうがなく言ってる人。だいぶ疲れてるのかなー。とか思いますけど。仕事がら、どうしても注意したくなります。歳のせいでしょうか。

お店としては、すごくマイナスです。やはり、笑顔は大切です。料理を作っているあいだもずっと、ニコニコしてて、とは言いません、疲れますから。いざお客様と対面するときは、それなりにいい笑顔になるように、心がけましょう。

気づかい 

なるべくお客様のめし上がる、お料理の嗜好は、メモにでも残しておくこと。どんなものが好みだとか、嫌いなものとかです。

あと、お客さまの個人情報をあれこれ、おたずねするのは失礼ですが、お客様からうかがった、仕事の事、ご家族のことなどは、メモしておくと、これからの話題の助けになります。

注意しなければならないのは、知りえた情報は、他人にはもらさないことです。仲のいいお客様どうしで、公然とお話されていることならば、さしつかえないでしょうが、気をつけてください。

雰囲気もサービスのうち

お店をやるからには、一般的に、楽しくなごやかな雰囲気が理想です。

いつも泥酔していて前後不覚になったり、他人にからんだり、ガラのよろしくない話題で他人を不愉快にさせたり、お店としては、迷惑なお客様がたまにいらっしゃいます。

さりげなく、注意をして、直らなければ、何か理由をつけて、以後入店をお断りするのも、良質なお店であるための、ひとつの方法です。

少し気をゆるめると、ふさわしくない方々が幅をきかしてしまう、とんでもない低レベルな店になってしまいます。

よく大型店に行くと、若い連中で、ワイワイガヤガヤ、うるさいぐらいの活気があり、あれはあれで、楽しそうでいいんですけれど、その隣ではおちついて飲食はできません。

店主が、どんな店にしていきたいのか、土地柄、立地条件にもよりますし、どんな料理をだしていきたいかにも左右されます。よくよく考えて方針を決めてください。

「実践経営哲学」 松下幸之助 著

前回もこの「経営の神様」が書かれた、本をご紹介しました。本日も同じ著者のものですが、こちらは、経営についてどう考えるか。そして、どのように実践していくかが書かれています。商売があまり良くない時など、対処療法だけではなく、根本から商売を考え直し、必要があれば修正する、いいきっかけになります。ぜひどうぞ参考になさってみてください。

今日はここまでです。次回は、 4、「 手ごろな料金であること」①を説明いたします。