飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント!! part2

2019年8月16日

飲食店を失敗しない、5つのチェックポイント!! part2

飲食店を失敗しない、5つのチェックポイントを説明

前回part1の冒頭で説明しましたとおり、以下が飲食店を失敗なく経営するための、5つの項目です。

1、より多くの人が食べたいと思う料理を提供できること
2、それが美味しい料理であること
3、お店全体でここちよいサービスが提供できること 
4、手ごろな料金であること
5、おおぜいのお客様がお見えになりやすい場所で営業すること

前回にひき続き今回は

2、「それが美味しい料理であることについて説明します

料理がまずければ、相当の変わり者か、味音痴でなければ、その店には行きませんね。
お客様に「美味しい」と感じていただける料理を提供できることが繁盛の絶対条件です。

1年を通じて美味しい料理を安定して作るには、それなりの勉強期間が必要になってきます。その間に、ひとりよがりにならない、誰が食べても、おおむね美味しいと評価していただける料理が、安定して作れるようにならないといけません。

まれに修行期間ほぼなしで成功している天才的な方々もいらっしゃいますが、普通の場合、完全な自己流では、あまりにもノウハウが足りず、不合理な点が多くなり、現金や時間を捨ててしまうような無駄が多くなりすぎますし、なんといっても失敗して廃業の危険が大きすぎます。

勉強(修行)期間がどうしても必要であること

どこで修行すればいいか

修行と言っても、やりたい料理にもよりますが、短期間で独立を考えるならば、自分がやりたい料理で、信頼のおけるお店を見つけて、独立希望であることを正直に話し、そこで普通にお給料をいただいて、働きながら経験して身につけるのが、近道かと思います。

注意しなければならないのは、飲食店は労働時間の割には、平均して低賃金です。修行と割り切ってください。

また、専門性の高い、製パン、製菓、ホテル、料亭、伝統的料理(本格フレンチ、和食、中華など)などに進むには、専門学校で基礎を学んだ方がいい場合いもあります。

料理専門学校は、そのままホテルや料理屋さんなどに進めるコースが多いですが、新卒でコースに乗らないと、名のあるところには就職時に不利になりますし、費用もかなりかかります。

数年の学校生活の次ににまた、就職して料理をおぼえるのに、数年かかります。わずかの期間で、独立希望の方には不向きですが、まだ若くて、本格的に一流のホテルや料理店での修行を経験して、海外の店などでも勉強してから、自分の店を持ちたいという方には正攻法のひとつになります。

修行の心がまえ

実際に、働いてみるとわかりますが、学校ではないので、そうとう親切な先輩でもいない限り、手取り足取りは教えてもらえません。

先輩の仕事を見て、おぼえる。休憩時間や帰宅したら、おぼえたことを、記録しておく。これが財産になります。独立した時に役に立ちます。休みの日は、再現して試作してみる。いわゆる復習ですね。

また、今は、料理の手順や分量などを書いたレシピーを、お店に置いてあるところが多くなりましたが、経営者や先輩と信頼関係ができたら、写させてもらえるところもあります。貴重です。これも財産です。

料理の基本と応用力を身に着けるべき

料理の修行を始め、少しコツをおぼえると、「なんだこんなもんか。コツさえわかれば、美味いものなんか簡単につくれるわ。」と、早とちりする人がかなりいらっしゃいます。

それで、半年から1年もしない内に独立したものの、すぐに客足が途絶え失敗。こんなケースがすごく多く見られました。

今は「料理の修行」と言うと古くさく聞こえますが、「料理の実践的な勉強」と言い換えてもいい。いい先輩や経営者に恵まれたとして、どんな天才でも最低2年から3年くらいは、勤めながら実践で勉強しないと、より多くの人に美味しいと感じていただく料理は作れるようにはなりません。

なぜ最低2年から3年というかは後述します。また開店した後に自分で研究すると言っても、店をやりながらだと時間もなく、生きた情報も少なく、なかなか挽回なんかできるもんではありません。

それに毎年毎年、ものすごく才能があり、人一倍努力する天才が次から次に、でてきます。そういう天才肌が近所に出店すると、あっという間に差をつけられますよ。

そのためにも、一定期間、経験豊富なプロの仕事が間近で見れる、できるだけ繁盛店で実際に働きながら、しっかり勉強して仕事を吸収して基本をたたきこんで応用力をつけてください。

応用力がついてくると自然に、料理の幅もひろがります。とても楽しくなります。具体的には、和食の基本をきちんと身につけると、洋食でも中華でもエスニックにでも、共通の料理のテクニックを使いこなすことができ、すごく料理の幅がひろがり自信がつきます。

それに、そもそもお給料もいただいて、勉強できるんですから、お徳ですよね。

プロのテクニックを身につける

一定の勉強期間が必要な理由として、プロの料理人のテクニックとノウハウが、素人とは比較にならないほど、けたはずれに高い技術があることです。こればかりは、自己流ではかないません。それを実際にこの目で見て、習わないと身に付きません。

プロの作業は超スピーディーで正確です。また、プロの動作はかなり無駄なく洗練されています。真似してもすぐにはできるものではありません。でも、安心してください。観察して真似してるとだんだんとできるようにもなります。

「そんなに手早くなくても、いいでしょう。」「要するに美味しく作れればいいでしょう。」「多少時間がかかってもいいんじゃないの?」そんな疑問もわいてきますが、そうはいきません。具体例を上げて説明します。

・例えば、混雑時にレストランなどに、何組かが同時に入って、ほぼ同時に注文したのに自分の料理が後回しで、なかなか出てこなくて嫌な経験したことはないですか。

このような混雑時には、どんなに注文が重なっても、とにかく順番に、いかに手早く合理的に作れるかの能力が問われます。

おみえいただいたお客様に、満足してお帰りいただくために、日々、腕をみがくんです。


・また、冷凍ものとか、半製品をほぼ使わず、生の食材にこだわって、一から仕込んでおられるお店は、仕込みの時間がかなり長時間になります。

ひとりでも、もたもたしてる人がいれば、それだけ作業の足をひっぱり、仕事がなかなか終わりません。ということは、食事の時間、休憩時間にくいこみ、大切な休息の時間が短くなるということです。

料理人の仕事は、長時間拘束される大変な仕事です。仕事が終わり帰宅して、仮眠して起きると、すぐ店に出勤か早朝から魚河岸へ直行です。

平日は、ほぼプライベートな時間はありません。だからこそ、日々、確実にかつ、手早く仕事をすまして、身体を休ませたり、料理の勉強をする時間をとる必要があるんです。

事務系の仕事も同じですよね。合理性を追求しないと、仕事時間が長くなってばかりで、心身ともに疲弊して消耗するだけです。

このように長年蓄積されたノウハウもプロの職場でしか得られないものがまだまだ、たくさんあります。

人のつながり

プロの持つ人間関係も幅が広く、将来に役立つものが圧倒的に多い。
プロどうしの横のつながりはありがたいものです。

人手不足の時に助けてもらったりすることもできます。また、仕入先の業者さんなどに、顔を売っておけば、将来品質のよいものを優先して回していただいたり、安く仕入れられることもあります。

そして、最もありがたいのが、 勤めたお店が繁盛するように、頑張って働いていれば、経営者から認めていただけて、独立時のスポンサーになってもらったり、資金援助していただける可能性もあります。

季節感を身につける

先ほど述べた、2~3年の勉強と言うのは、もうひとつ根拠があります。本格的な料理屋さんならあたり前のことですが、お菓子やケーキの世界だろうが、ラーメン専門店、焼鳥専門店、とんかつ店だろうが、季節を感じることができなければ、四季の表情が豊かな国で料理をやる意味が薄れます。

私の知ってる繁盛店は、どんな小さなお店でも例外なく、さりげなく四季おりおりの季節感を料理や店内に表現していました。

店主やおかみさんとの会話のちょっとしたところに、季節を感じたり。なにも難しいことはありません。お客様は、春は初鰹、空豆、夏は鮎やイサキに枝豆、トウモロコシ、など出されれば、季節を感じることができて、嬉しいものです。

大衆店でも季節の花が1輪、飾ってあったり、デザートに季節のフルーツが小鉢に少し「旬の果物です。どうぞ」といってだされるだけでも、かなりオシャレで格が上がります。

こういった旬の食材や季節感をおぼえるのも1年では実際に手にとってふれる機会が限られているのでかなり、無理があります。

一生勉強

少し先の話になります。どの職業にも共通してますが、独立してからも、料理の勉強はおこたらないように。

上には上がいます。自分の理想に近い店や興味のある店を見つけて、料理を食べたりして。通っているうちに、親しくなり料理や経営のヒントがもらえることも多々あります。

また、ひとつのことをライフワークとして努力をつみ重ねていくと、料理の向上や店の繁盛にもつながりますが、間違いなく人間としても、料理を通じて成長し、みがかれていきます。

客観的な評価

そして、そろそろ開業できるかなと自信がつき、資金の準備のめどがついたところで必ずやるべきことがあります。


信頼のおける先輩や経営者に何度でもお願いして、テストをしてもらうことです。開業時にメインにしたいと考えている料理を、何度か全品食べてもらい、評価してもらって下さい。

私もそうでしたが最初は、赤点でもあきらめない。料理が好きだという情熱さえあれば、かならず合格点はもらえるでしょう。好きならば、何度だってチャレンジです。

ただ、過去に後輩にいたんですが、まれに味覚障害に近い人がいますが、それは早期にわかるはずです。飲食業には残念ながら不向きです。

それと、ひとりよがりにならないことです。おおむね合格点がでるまでは、出店を延期したほうがいいです。

しかし、自分が店を出すんですから、最終判断は、自分がしないといけません。ここが難しいところです。ただ、客観的にみて、まだ力がついてない内に無理に出店しても、後から無駄に苦労するか、失敗が待ちうけているだけですので注意が必要です。

独立をあきらめるのも選択枝にいれる

何年か修行しているうちに、技術的に独立してやっていけるかどうかは、なんとなくわかってきます。周囲もそういう雰囲気になります。「君ならいけるよ。」「○○さんなら、大丈夫そうだね。」という意見がでるようになったら、独立のきざしです。

ただし、「何年たっても、やりたい料理が上達しない。」「誰からも、いい評価をもらえない。」こんな時どうします。

そこまで料理の世界に飛び込んできたのですから、味覚は確かなんでしょう。また、情熱もあるんでしょう。

後は、貪欲にたくさんの良質な料理を食べ歩ってないのかもしれませんね。いろいろな料理の味を知らない。知らなければ、再現できません。

ということは、いつもの味しか出せません。だとすると、平凡な評価しかもらえないことになります。

料理は “人まね" が、スタートです。まずは、「自分が美味しいとほれ込んだ料理の味を再現する」ところから、始まります。

それがじょうずに安定して作れるようになったところで、次は、「もっと美味しくならないか」という少し高みにチャレンジします。それができて初めて、あなたの料理になります。

それまでは、他人のコピーでしかありません。しかし、そのコピーでさえも、実力がないと難しい。地味な作業ですが、この実力を日々やしなって行く事が、料理人の大きな仕事のひとつです。この地味な作業が嫌か、できないなら、残念ながら独立はあきらめて、違う方向を考えた方がいいと思います。

「経営のコツここなと気づいた価値は百万両」    松下幸之助 著

少し古い本ですが、商売全般のことについて、わかりやすく解説されています。さすがに経営の神様というだけあって、読んですぐに栄養になるようなエピソードが満載です。個人の商売にもよし。社員を雇うようになってからも、かなり役にたちます。ぜひ一読なさってみてください。

本日は、ここまでにします。次回は 3、「お店全体でここちよいサービスが提供できること」を説明します。